TDDBC 札幌 2.2 開催レポート

書いた人
Shuji Watanabe(@shuji_w6e)

TDDBC札幌2.2

札幌でのTDDBCは6回目の開催ということで、テスト駆動開発の未経験者の参加率も低くなってきました。そこで、今回のTDDBCではあえて基調講演を行いませんでした。より課題を行う演習の時間を多くとりたい事・基調講演は何度も聞いている人が増えている事・和田さんのTDD入門ビデオやTDDBCのUst録画が公開されていること・運営の負荷を減らすことなどが理由です。現状、TDDBCというイベントは和田さんの基調講演で支えられている側面が大きいのは事実です。しかし、何時までもそれでは和田さんの負荷が掛かりすぎてしまいます。そこで、参加者のスキルアップを基調講演のないTDDBCで行い、新しく興味を持った人のために基調講演のあるTDDBCを行うべきかと思います。 尚、今回の参加者はスタッフ込で10名。3名ほど今回のTDDBCへの初参加でした。

テストリストの見つけ方

とはいえ、講演が一切無しというのも寂しいです。そこで、今回は「テストリストの見つけ方」という題目で20分ほどセッションを行っています。内容はTDDBC横浜で発表した内容とだいたい同じですので、資料はこちらからご覧ください。

ディスカッション

セッション終了後は、セッションの内容やテスト駆動開発そのものに関する疑問などをディスカッションしました。時間にして30分以上盛り上がっています。内容としても、実際にTDDをやりはじめた中での疑問や、どのようにして開発チームに浸透させるかといった現実的な問題に参加者がぶつかっていると感じるないようです。そんなリアルな話が出来るようになってきたのは非常に喜ばしい事です。

課題と演習

言語は6名がJavaへ、4名がSmalltalk(とHaskell)となりました。それぞれでチームを分け、最終的には4チームで課題を進めました。このあたりは人数も少ないのでフレキシブルに行えています。また、TDDがまったくの初めてという人の割合が低いため運営の負荷もありません。 今回は、テーマを「基本に戻る」とし、TDDBC札幌1.0でも使用したLRUキャッシュ(使用頻度や時間で古いデータが消えていくkey-valueコンテナ)を課題として使用しました。ただし、参加者のTDDへ練度も異なるため、慣れないチームではFizzBuzz問題など、簡単な課題からチャレンジしてもらっています。

レビュー

札幌開催の特徴としては、だいたい夜の8時くらいまでを演習にとっている事もあげられます。特に今回は11時には演習をはじめてので、8時間ほどを演習に当てられました。この時間を演習に当てられると、レビューも3−4回可能ですし、チーム数が少ないため、毎回全チームのレビューも可能です。レビュー時間は休憩にもなりますし、アイディアをもらえたり刺激をもらったりできるため、TDDBCの醍醐味の1つでしょう。

振り返りと懇親会

結構長い時間を確保していても、TDDBCはあっという間に過ぎていきます。それはプログラミングが楽しいからに他なりません。ですが、しっかりと振り返り、糧としなければ「楽しかった」で終わってしまいます。 振り返りで一番多かった感想としては、TDDにも少しずつ慣れてきて色々考える余裕が出来てきた・繰り返しやることが大切という点です。これらは、まさに継続開催している理由ですので主催者として喜ばしい所です。逆に、Java、Ruby、Smalltalkあたりしか実質的に選択肢がないのがTDDBC札幌の課題かと思います。PHPや.NETなどTDDをやりたい人はいるのですが、人数が集まらなかったりリードする人が居ないのが現状です。少人数でやる中での限界なのですが、是非自分の言語でもやってみたい人がいたら名乗り出てください

地方とTDDBC

札幌では2011年11月現在、通算6回のTDDBCを開催しています。さらに、12/3にもTDDBC札幌2.3開催を予定しており、昨年の12月から概ね2ヶ月に1回というペースで開催してきました。基調講演として和田さんが参加されている回は2回ですが、それ以外の会については地元の有志による主催でテスト駆動開発を学んでいます。 参加者の中にも日常的に業務で取り組み始めた人、開発チームに少しずつ浸透させようと活動している人、テスト駆動開発に慣れ始めて新しく参加してくる人に伝える側に回る人と、少しずつですがレベルアップをしてきていると感じております。絶対数で言えば首都圏の何十分の1という数かと思いますが、札幌の開発者のテストへの意識に関しては高い方向へ進んでいると思います。 そもそも日本のソフトウェア開発は首都圏にほぼ全ての人材と情報が集まっていると断言しても過言ではありません。地方へと目を向けるとそこには20年前から変わらない開発が行われている事もしばしばあります。地方ではより新しいものに対する変革への抵抗は強く、新しい技術に関する伝搬は遅れます。 TDDBC札幌は2009年の秋頃、Twitterで和田さんにTDDBCを札幌でもやりたいんだけど...というDMを送り即時に快諾された事が発端です。その後、継続的にやる事でもっとたくさんの人に、そして自分のスキルアップのために開催したいと続けてきました。みなさんの地域でも地方だから...と考えずに開催してみてください。少人数で実施するならば運営の負担もそれほど高くないですし、近隣地域からスタッフ経験者を招待すればどこでもBootCampできるはずです。

Last modified:2011/11/30 22:42:07
Keyword(s):
References:[xUTP Magazine 0002号] [ぺけま]